【美とあそぶ】
おさるさん/3
目の前の山頂目指す

文:川名壮志(聞き手、毎日新聞記者)

 高校1年の時は、身長が145センチしかありませんでした。もちろん、学年で一番低い。それでも僕、スポーツが何でも得意だったんです。母は書道の先生でしたが、父は元野球部で、足もめちゃくちゃ速かった。

 僕もその血を受け継いだんですが、中学は写真部で、高校は吹奏楽部でした。体育会系のノリが、怖かったんです。父も「人前で歯を見せるな」という昔かたぎの人でしたしね。人見知りだったのに、22歳でお笑い芸人になったのは、しつけが厳しかった親への反発があったのかもしれません。

夢 人生夢うつつ

 それが今、53歳。芸人を始めて30年以上がたちました。早いですよね。作品には、「人生なんて一瞬……。夢なのか、現実なのか分からない。でも、そんなのどっちだっていい、とにかく駆け抜けろ!」という思いを込めました。

 目の前にある山頂を目指すこと。いつも、それを自分に言い聞かせています。

PROFILE:

おさるさん

1968年、大阪府生まれ。91年、お笑いコンビ「アニマル梯団(ていだん)」でデビュー。芸能活動の傍ら、宇都鬼(うっきー)の雅号で書に親しみ、作品をインスタグラムでも公開。スポーツ万能で2児の父。

2022年6月27日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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