もともと漫画を描くのは好きでしたね。東京・渋谷のユーロライブで開いている「渋谷らくご」、通称シブラクのフリーペーパーに4コマ漫画を連載していたんです。それを見た仲間から、似顔絵も描けそうって声をかけられ、毎号、落語家の似顔絵を描くようになりました。
ただ野菜似顔絵は、あくまで野菜ありきなんです。わが「志ん五農園」はネコの額ほどの広さ、いくつもプランターを並べているだけですから、しょせんシロウトの野菜。出荷できません。でも、それが似顔絵に向いているんです。スーパーの野菜は画一的で個性がないので。
曲がったシシトウが取れたとき、おお、これ、田中邦衛さんの口だなってひらめいた。人気テレビドラマ「北の国から」の黒板五郎役の。大好きな俳優さんでしたから、うまく仕上がってくれ、すごくうれしかったですね。
PROFILE:
古今亭志ん五(ここんてい・しんご)さん
1975年、埼玉県川越市生まれ。2003年、初代古今亭志ん五師匠に入門。師匠没後、志ん橋門下となり、17年、真打ち昇進。古典、新作どちらも演じる。
2022年4月25日 毎日新聞・東京夕刊 掲載