「振り子」

【美とあそぶ】鉄拳さん/31100枚を2カ月で

文:鈴木梢(聞き手、毎日新聞記者)

インタビュー

 僕のパラパラ漫画の中で、一番有名になった作品が「振り子」です。左右に揺れる時計の振り子で時の流れを表現しながら、夫婦の半生を描いています。ストーリーには、両親の実話も少し含まれています。理容師のおやじが体の弱い母ちゃんの髪を切る。それが一場面になっています。

 パラパラ漫画を描き始めたのは10年前。テレビの番組企画で制作したのがきっかけです。ちょうど芸人の仕事に限界を感じて事務所を辞めると決めた直後、この仕事が舞い込みました。「振り子」は当時、動画投稿サイトのユーチューブで300万回以上再生され、映画化もされました。

 パラパラ漫画は1秒間に6枚描くので、1分間で360枚。3分間の作品だと1100枚ぐらいで制作に約2カ月かかります。いつも自宅に籠もり、こたつの上で描きます。だからコロナ禍で外出自粛になっても、あまり生活は変わりませんでしたね。

鉄拳さん ©YOSHIMOTO KOGYO CO., LTD.

PROFILE:

鉄拳(てっけん)さん

1972年、長野県大町市生まれ。お笑い芸人。スケッチブックネタで人気を呼び、パラパラ漫画で再ブレーク。ユーチューブ「鉄拳パラパラ漫画チャンネル」で作品公開中。「鉄拳のパラパラマンガうつすだけドリル」(主婦の友社)を刊行。

2022年1月31日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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