【美とあそぶ】
光宗薫さん/3
ポーの小説がモチーフ

文:川名壮志(聞き手、毎日新聞記者)

インタビュー

 私は米国の作家、エドガー・アラン・ポーが好きで、この作品は彼の「メロンタ・タウタ」というSF短編小説をモチーフにして今年2月に開いた個展に出品した連作の一枚です。画材は鉛筆です。

 大地に並んでいるお墓は、私が描いた絵のお墓です。絵って、それが個展に出品されて多くの方の目に触れたり人の手に渡ったりすると、もう私一人だけのものではなくなる気がするんです。世に出ると、私と絵の関係が一度完結して終わったなと思うんです。

 宇宙飛行士の服を着ている2人は、どっちも私。絵のお墓を見ている私と、遠くを見て次のことを考えている私。お墓を見ている私は、スイセンを手にしています。花言葉が「自己愛」だと知って描きました。タイトルは「夜」ですが、「昼」という作品もあります。ポーの短編には孤独や虚無感があって、私なりにその世界観に自分を重ね合わせて描いています。

PROFILE:

光宗薫(みつむね・かおる)さん

1993年生まれ。大阪府出身。アーティスト・俳優。AKB48で活動後、俳優やモデルなど幅広く活躍。独学で絵を描き始め、個展を開催するなどアーティスト活動が話題に。2022年春も個展を開く予定。

2021年10月25日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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