VUILDによる「学ぶ、学び舎」=歌津亮悟氏撮影
VUILDによる「学ぶ、学び舎」=歌津亮悟氏撮影

 誰でもX(ツイッター)から投票できる「みんなの建築大賞2024」の結果が15日、発表され、初の大賞に設計集団「VUILD」(秋吉浩気CEO)が手がけた東京学芸大(東京都小金井市)の「学ぶ、学び舎」が選ばれた。

 この賞は、より多くの人が現代建築に興味を持ち、長く愛される建築を増やそうと編集者や建築史家からなる「みんなの建築大賞推薦委員会」が初めて主催した。28人の推薦委員が2023年中に完成・開業するなどした国内の建築から10作品を選び、大賞候補「この建築がすごいベスト10」をX上で公表。1月下旬から2週間かけて、「いいね」機能を使って票を募った。

左から、五十嵐太郎委員長、VUILDの秋吉浩気CEO、伊藤博之さん、国立近現代建築資料館の寺本恒昌館長
左から、五十嵐太郎委員長、VUILDの秋吉浩気CEO、伊藤博之さん、国立近現代建築資料館の寺本恒昌館長

 主催者によると、総投票数のべ8570票のうち大賞は2143票を獲得。次点は1833票を得た伊藤博之建築設計事務所による東京・湯島の集合住宅「天神町place」だった。同作は推薦委員が選ぶ「推薦委員会ベスト1」に選ばれた。

 「学ぶ、学び舎」は「教育のこれから」を考える実験的プログラムを実施する工房。デジタルデータを駆使してさまざまな形に削り出した集成板の塊を葉脈のように組み上げた。今後、木工用3Dプリンターを用いて子どもらと共に内装の整備に取り組む計画もあるという。

 同日、東京・湯島の国立近現代建築資料館で開かれた同賞の授与式では、選考委員長を務めた建築史家の五十嵐太郎氏が「既存の建築賞は専門家以外知られてこなかった。この賞は、業界外に積極的に発信していく」とあいさつ。秋吉CEOは「建築の『推し活』のような賞。この賞を通して多くの人が興味を持ってくれた」と喜んだ。「天神町place」を設計した伊藤博之さんは「これからは建築家にも発信力が必要になってくる」と語った。

 ノミネート作品は他に、熊本地震震災ミュージアムKIOKU▽52間の縁側▽後藤邸▽SIMOSE▽太宰府天満宮仮殿▽地中図書館▽庭の床福武トレスFギャラリー▽花重リノベーション。

2024年2月26日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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