【ART】つやめく「銀座バラード」 石内都さん個展
つやつや輝くオムライスの一皿

【ART】
つやめく「銀座バラード」
石内都さん個展

文:高橋咲子(毎日新聞記者)

写真

 銀座と写真家・石内都さん(1947年生まれ)はゆかりが深いという。かつてを振り返りつつ、撮り下ろした銀座の写真はどれもつやめいている。

 東京・銀座の資生堂ギャラリー(03・3572・3901)の「石内都 初めての東京は銀座だった」展では、資生堂の『ウェブ花椿』で連載していた「銀座バラード」のために撮り下ろした約30点を展示している。神奈川県横須賀市から15歳で銀座のジャズ喫茶に遊びに行ったのが初めての東京であり、初めて個展をしたのも銀座。77年、ニコンサロンだった。

 普段の写真と少し趣が異なりますね。そう石内さんに向けると、「全然違うわよ。でも一緒なの」。銀座を象徴するような店の、オムライスをのせた皿のふちや、仕立屋のはさみ、画材屋の絵の具のチューブ。色とりどりの宝石のように、キラキラしている。時間を撮っているという写真家が、銀座が育んだ文化の輝きを捉えた。15日まで。

2023年10月2日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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