創立150年を迎えた東京・上野の東京国立博物館(東博)で10月から開催される特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」(毎日新聞社ほか主催)の報道発表会が20日、開かれた。約12万件の所蔵品から国宝全89件を含む名品や、150年の歩みを紹介する展覧会となる。
同展は10月18日~12月11日、毎日新聞創刊150年企画として開催。第1部は、東博が所蔵する国宝を会期中に全て見せる史上初の試みとなる。国宝刀剣の所蔵数として日本最多となる19件をまとめて展示する「国宝刀剣の間」も設ける。
ユニークなのは明治から現代にわたる東博の歴史を紹介する第2部。起点となった1872(明治5)年の湯島聖堂博覧会の様子を、実際に展示された和楽器や、名古屋城の金のシャチホコ(レプリカ)などを用いて追体験できるようにする。
また、自然史部門の資料として展示されていたキリンの剥製標本も、約100年ぶりに同館で見ることができる。このキリンは、日本に生きたままやって来た初めてのキリンで、上野動物園の人気者だったという。
このほか、最新の収蔵品として、昨年度に加わった金剛力士立像を初公開。数少ない平安時代末期の金剛力士像で、約2.8メートルの像高は、東博が所蔵する仏像のなかでも最大級だという。銭谷真美館長は「博物館のあり方を再確認し、私たちにとってなぜ博物館が必要なのかを考える機会にもなる。過去と未来の懸け橋として、広く社会とつながるプラットフォームとして新しい一歩を踏み出したい」と話した。
2022年5月21日 毎日新聞・東京朝刊 掲載