来年創立150年を迎える東京・上野の東京国立博物館(東博)で来秋、所蔵する国宝全てを初めて展示する特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」(毎日新聞社ほか主催)が開催される。文化財の保存の側面から、全国宝を一つの展覧会で展示することは難しく、担当の佐藤寛介(ひろすけ)研究員は「全てそろうのは奇跡的。今後あるか分からない展覧会」だと話した。
同展は来年10月18日~12月11日、毎日新聞創刊150年企画として開催。東博の所蔵品のうち国宝は89件で、日本の国宝(美術工芸品)の約1割に当たる。展示は2部構成で、国宝を展示する第1部では狩野永徳の障壁画の傑作「檜図屏風(ひのきずびょうぶ)」(安土桃山時代)や、教科書でおなじみの古墳時代の「埴輪(はにわ) 挂甲(けいこう)の武人」、天下五剣の一つで、最も美しいとされる「太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)」(平安時代)など多様な分野から89件を展示(会期中展示替えあり)。また、国宝指定の刀剣19件全てを同じ部屋で見せる「国宝刀剣の間」も見どころだという。
第2部では、国内で最も長い歴史を持つ東博の150年を、当時の展示ケースや展示品などを用いた再現展示などを通じて紹介する。15日にあった記者会見で佐藤研究員は「国宝を横軸に、歴史を縦軸として東京国立博物館の全容を紹介することで、誰も見たことがないメモリアルイヤーにふさわしい展覧会となる」と話した。
2021年11月16日 毎日新聞・全国朝刊 掲載