「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」をパナソニック汐留美術館で開催中です。ブダペスト国立工芸美術館(ハンガリー)の19世紀末から20世紀初頭までのコレクション約200点を通じて、日本美術がどのように西洋に影響を与えたのかを探ります。注目作品をパナソニック汐留美術館学芸員の宮内真理子さんが解説します。

注目作品解説

孔雀文花器(くじゃくもんかき)

「孔雀文花器」 ルイス・カンフォート・ティファニー 1898年以前

 特許技法のファブリルガラスによる花器。表面にはクロム・アヴェンチュリンでクジャクの羽根のしま模様が、優美な曲線の連続で表現され、器のフォルムと共鳴する。光に透き通る青と緑のグラデーションに、表面のきらめきが重なり、流麗なフォルムを一層際立たせている。

菊花文花器(きくかもんかき)

「菊花文花器」 エミール・ガレ 1896年ごろ

 エミール・ガレによるジャポニスムの名品。口縁部はエゾギクの装飾モチーフで縁取られ、胴部分に形のさまざまな八重咲きの菊と霞(かすみ)がたなびく様子が左右非対称に描かれている。琥珀(こはく)色のガラスに、光沢のあるエナメル彩で艶やかに表現された菊の花弁は金彩で縁取られ、強調されている。

蔦蔓葡萄文花器(つたかずらぶどうもんかき)

「蔦蔓葡萄文花器」 ジョルナイ陶磁器製造所(絵付け:ユーリア・ジョルナイ) 1910年ごろ

 ハンガリー随一の名窯ジョルナイの美しい花器。貫入のある青みを帯びた釉薬(ゆうやく)の上に、蔦蔓と野ブドウがエオシン彩という特別なラスター彩で絵付けされている。ジョルナイ製の作品にのみ使用されるエオシン彩はそのきらめきから、曙(あけぼの)の女神エオスにちなみ名付けられた。

INFORMATION

来月19日まで 東京・パナソニック汐留美術館

<会期>12月19日(日)まで。水曜休館。午前10時~午後6時、11月5日、12月3日は午後8時まで(入館は閉館の30分前まで)
<会場>パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1 JR・東京メトロ・都営地下鉄・ゆりかもめ新橋駅、都営地下鉄汐留駅下車)
<入館料>一般1000円、65歳以上900円、大学生700円、中学・高校生500円、小学生以下無料
<問い合わせ>ハローダイヤル(050・5541・8600)

※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、予約サイトでの日時指定予約にご協力をお願いします。また、感染状況により開催内容を変更する場合があります。詳しくは同館ホームページ(https://panasonic.co.jp/ew/museum/)

主催 パナソニック汐留美術館、毎日新聞社

2021年11月5日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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