「よみがえる川崎美術館」展に展示される狩野孝信筆「牧馬図屛風」=神戸市中央区で2021年10月15日、菱田諭士撮影

「よみがえる川崎美術館」展日本初の私立館 神戸・来年10月再現展示

文:山脇新一郎(毎日新聞記者)

コレクション

 神戸市立博物館(神戸市中央区)は15日、2022年10月に特別展「よみがえる川崎美術館―川崎正蔵が守り伝えた美への招待―」(同博物館、毎日新聞社など主催)を開催すると発表した。明治期に日本初の私立美術館として開設され、大正末期まで活動。その後、一般には忘れ去られていた同美術館の展示空間を、約1世紀ぶりに再現する。

 川崎美術館は1890年、川崎造船所(現・川崎重工業)創業者の川崎正蔵が、絵画や仏像、工芸品の海外流出を憂慮して神戸市の自邸内に2階建てで開設。千数百点に及ぶ収蔵品の観覧は招待客に限られていたが、現存する大倉集古館(東京・1917年開館)などに先立つ、日本初の私立館だった。川崎没後、27年の金融恐慌のあおりを受け、コレクションは売り立てで散逸。美術館の存在も歴史に埋もれた。

 特別展では、円山応挙の障壁画(襖(ふすま)28面)を配置して当時の1階展示室の一部を再現する。また、記者会見では、出品作の一つ、桃山~江戸時代の絵師、狩野孝信の「牧馬図屛風(びょうぶ)」が披露された。散逸後、国内の展覧会では初公開。良好な保存状態で狩野派らしいきらびやかな作風を堪能できる。

 石沢俊学芸員は「閉館後、建物が水害や戦災で失われたことが、忘れられた大きな要因だ」と説明。「川崎美術館(の先駆的な活動)があったから後の美術館や博物館、収集家が育った」と語った。

2021年10月16日 毎日新聞・東京朝刊 掲載

シェアする