「風神雷神図屛風」酒井抱一、江戸時代(19世紀) 前期展示=出光美術館蔵

◇9月27日開幕、12月14日まで 展示替えも

 出光美術館(門司)の開館25周年を記念した企画展「琳派の系譜-宗達、光琳と江戸琳派」が27日、同館で開幕する。江戸時代初めの京の都で本阿弥光悦と俵屋宗達が創始した「琳派」は、江戸中期の尾形光琳によって大成され、19世紀には酒井抱一、鈴木其一らの「江戸琳派」へと結実する。本展では出光美術館が所蔵する琳派コレクションにより、家系ではなく私淑と創意により発展した琳派芸術をひもとく。会期は前期(27日~11月3日)、後期(11月8日~12月14日)の2期に分け、ほぼ全作品を入れ替える。展覧会の見どころ、美の潮流「琳派」の魅力を髙木大輔・同館学芸員に寄稿してもらった。

 ◇比類なき華やかさ 学芸員に聞く

 出光美術館(門司)は今年、開館25周年を迎えました。これを記念し、本年度の展覧会では出光美術館が所蔵する珠玉の名品を順次紹介しております。本展はその第4弾として、同館が誇る「琳派」の優品を精選してご覧いただきます。

 琳派は、絢爛(けんらん)かつ優美、そしてあふれる色彩を特色とし、日本美術史において比類なき華やぎを誇ってきました。17世紀初頭の京都において、本阿弥光悦(1558~1637年)や俵屋宗達(?~1640年ごろ)が王朝文化を新たに翻案して創出した造形は、18世紀には尾形光琳(1658~1716年)・乾山(1663~1743年)兄弟に継承され、さらに19世紀には酒井抱一(1761~1828年)、鈴木其一(1795~1858年)らによる洒脱(しゃだつ)な「江戸琳派」へと展開しました。

 琳派の系譜を特徴づけるのは、厳格な師弟関係による継承を旨とした狩野派などとは異なり、先人を敬慕して学ぶ「私淑」の姿勢です。宗達、光琳、抱一らはそれぞれ異なる時代を生き、直接の交わりを持ちませんでしたが、先達の作品に深く学び、その美意識を自らの創作に昇華することで新たな表現を生み出したのです。

 すなわち琳派とは、権威に依(よ)らず、敬慕の念を紐帯(ちゅうたい)として織り成された「美の系譜」と言えるでしょう。本展では、琳派の創始から幕末に至る琳派作品の数々から、その系譜をご紹介しています。抱一筆「風神雷神図屛風(びょうぶ)」(前期展示)や「八ッ橋図屛風」(後期展示)など、私淑の精神を体現する代表作を多数展示します。

「風神雷神図屛風」酒井抱一、江戸時代(19世紀) 前期展示=出光美術館蔵
「八ッ橋図屛風」酒井抱一、江戸時代(19世紀) 後期展示=出光美術館蔵

 また、琳派の芸術は絵画にとどまらず、工芸の分野にも及びました。光琳の実弟・乾山は、兄の洗練された感性を陶芸に取り入れ、優美で独創的な作品を生み出しました。光琳・乾山の合作や乾山焼に見られる造形や文様は、絵画と工芸が相互に響き合いながら発展した事実を如実に物語っています。本展では、「琳派のやきもの」展(2024年度)に続き、尾形乾山作「銹絵(さびえ)染付金銀白彩松波文蓋物(ふたもの)」(重要文化財・通期展示)も紹介します。

重要文化財「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」尾形乾山、江戸時代(18世紀) 通期展示=出光美術館蔵

 華麗なる琳派の名品が一堂に会するまたとない機会です。今なお人々を魅了する日本美術の精華「琳派」の世界をお楽しみください。

「伊勢物語若草図色紙」俵屋宗達、江戸時代(17世紀) 前期展示=出光美術館蔵
「立葵図」鈴木其一、江戸時代(19世紀) 後期展示=出光美術館蔵

INFORMATION

琳派の系譜――宗達、光琳と江戸琳派

□会期
・前期27日(土)~11月3日(月・祝)
・後期11月8日(土)~12月14日(日)
※月曜休館。ただし、祝休日は開館。
※11月4~7日は展示替えのため休館。
□会場
出光美術館(門司)
(北九州市門司区東港町2の3、093・332・0251)
□観覧料
一般700円▽高大生500円▽保護者同伴の中学生以下無料※10人以上の団体は各200円引き。
□列品解説
第2、第4日曜日
①午前11時~②午後2時~

主催 出光佐三記念美術館、出光美術館、毎日新聞社
協賛 出光興産株式会社

2025年9月26日 毎日新聞・西部朝刊 掲載

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