2024年秋、東京・京橋のオフィスビル、ミュージアムタワー京橋の1階ロビーに大型ディスプレーが出現した。アーティスト集団「ダムタイプ」による初のパブリックアート「WINDOWS」だ。大きなガラス窓沿いに設置されたもう一つの〝窓〟。25年11月に新たな映像が加わり、続編として公開されている。
「WINDOWS」はインターネット上に流れる世界各地のライブカメラ映像をリアルタイムで収集し、それらを独自のアルゴリズムでマス目上に並べ替え、画面両面に映し出すメディアアート作品。映像は日々更新され、ビルの中だけでなく外からも楽しめる。衛星から俯瞰(ふかん)的に見る姿とは違う、地表の複眼的な視点で捉えた地球が表現されている。
続編ではビル屋上に設置された超広角レンズのカメラ映像が加わった。地上150㍍地点にあるライブカメラは全天を撮影し、刻々と移ろう空の様子を伝える。「この場所にまつわる映像によって、自分のいる何気ない日常もこの中の一コマであり、世界とつながっていることを感じてもらえる装置になれば面白いと思った」とダムタイプのメンバー、高谷史郎さん。街のざわめきなど現在進行形で流れるビル周辺の環境音も新たに取り入れた。
1984年に京都で結成されたダムタイプは、美術や音楽、ダンスなどジャンルを横断する作品を発表。プロジェクトごとにメンバーを代えている。22年の伊ベネチア・ビエンナーレ国際美術展で日本館出品作家に選ばれた際には、音楽家の坂本龍一さんも参加した。ライブカメラ映像をつないで地球の時間を表す本作のアイデアは、坂本さんとの対話の中で生まれたという。
続編発表の記者会見には批評家の浅田彰さんも登壇した。「我々は世界中のあらゆるところが可視化されていると思いがちだけど、実は見えていないものはいっぱいある」と浅田さん。空を見るのは「社会から遠ざかった宇宙を見ること」とし、「日常で知っている社会の次元を超えるような宇宙的な窓を開け、空の壮麗さに魅了されるのはすごく気持ちのいいこと」と評した。

2026年1月26日 毎日新聞・東京夕刊 掲載