福岡県久留米市の石橋文化ホールは、簡素で美しいデザインが特長だ。玄関は全面ガラス張りで、変わりゆく街の風景を格子状に切り取っている。

1963年完成。同市出身の菊竹清訓が手がけた。現在はコンサートだけではなく講演会などにも利用されているが、そもそもは音楽専用。多目的用途のホールをとの希望もあったが、音響を最優先した。
客席数を減らし1席あたりの容積を大きくすることで響きがよくなった。天井はかまぼこに似た形状が連なり、見ていると不思議な感覚になる。壁面はびょうぶのように分割され、それぞれの向きが異なる。だがすべてが計算し尽くされていて、美しい音をむらなく響き渡らせる。

ホールが建つ「石橋文化センター」は四季折々の花が咲く庭園に、美術館や図書館などを併設。56年、同市出身のブリヂストンタイヤ(現ブリヂストン)社長、石橋正二郎(故人)が市に寄贈した。今も多くの市民に親しまれている。
2026年3月22日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載