JR広島駅から市中心部方面に約10分歩くと、カトリック幟町教会「世界平和記念聖堂」が見えてくる。
1945年8月6日の原爆投下により、爆心地から1・2㌔の教会堂が焼失。主任司祭のラッサール神父も被爆したが、犠牲者の慰霊、世界の友情と平和のシンボルとして跡地に新聖堂建築を発案。世界中のカトリック信者らから多くの寄付が集まった。設計は建築家の村野藤吾。大規模な設計コンペを開いたが該当作がなく、審査員だった村野が自ら担当した。着工は50年8月6日。54年8月6日に完成、献堂された。
全長57㍍。東端に花弁形平面のドームを建ち上げ、北側西寄りに鐘塔を配置した。長い廊下部分はカトリック伝統の「バシリカ式」だ。一方、入り口上部の欄間やハス形の照明、ドーム上の鳳凰(ほうおう)など、和の要素も多く取り入れ、2006年に国指定重要文化財になった。
11月初旬の雨の日曜日、ミサに参加した。生と死が交錯する1時間。被爆者や原爆で家族を失った多くの市民が、この空間で安息を得たのだろう。


2025年12月7日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載