原爆ドームを過ぎ、元安橋を渡ると、左手に平和の灯と原爆慰霊碑が見える。その背後に、細長い形の建物が横たわる。広島平和記念資料館、通称「原爆資料館」本館。8月24日に開館70年を迎えた。
設計は建築家の丹下健三。東西82㍍、南北18㍍の鉄筋2階建て(一部3階)で、1階部分は20本の柱のみ。建物を空中に浮かせたピロティの造形、2階南北面のルーバーの意匠が最大の特徴で、2006年に重要文化財に指定されている。

原爆投下前、資料館を含む平和記念公園一帯は、広島有数の繁華街だった。丹下はここを被爆者への鎮魂と世界平和への決意表明の空間と位置づけ、東西の平和大通りを正面とし、資料館、慰霊碑、原爆ドームを一直線に配置。この南北の景観軸は「平和の軸線」と呼ばれ、資料館1階は公園のゲートの役割も果たしている。
撮影のため許可をもらい、公園南の病院の屋上にあがった。資料館越しに見える慰霊碑前で犠牲者を悼む多くの人々を、原爆ドームが静かに見守っていた。

2025年9月14日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載