手すりや柱に大理石「小桜」が使われた玄関ホール。階段部分は高さ約20㍍の吹き抜けになっている=山崎一輝撮影

 名古屋市役所本庁舎(名古屋市中区)は、官公庁が集まる一帯に位置し、絢爛けんらん豪華な名古屋城を望む。中央部の時計塔は高さ53・5㍍で2層の屋根があり、銅板製の「四方にらみのシャチ」が鎮座している。

名古屋市役所本庁舎の時計塔頂上に設置された四方にらみのシャチ=山崎一輝撮影

 昭和天皇即位の記念事業として、1933(昭和8)年に完成。設計は一般公募され、愛知県豊山町出身の建築家、平林金吾の案が採用された。

 近代的なビルに瓦屋根を乗せた「日本趣味を基調とした近世式」の建築様式が特徴で、シャチの配置など、平林が幼少から親しんできた同城との調和が随所に見られる。

 内外部に、三河や尾張地方特産のタイルを使用。正庁の天井には格子状の「ごう天井」を施すなど、西洋と日本の伝統的な意匠が巧みに織り交ぜられている。

 2014(平成26)年には、隣接する愛知県庁本庁舎とともに国の重要文化財に指定された。多くの市民に愛され、「市政の本丸」の役割を果たし続けている。

国の重要文化財に指定されている名古屋市役所本庁舎=山崎一輝撮影

2025年8月24日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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