特別企画展「軌跡のきらめき~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」が開かれている。展示される主な作品を紹介する。
◇地中で偶発的風化現象
「すべての道はローマに通ず」の言葉が示すように、ローマから各地へと敷かれた街道は、ガラスの普及にも一役買った。さらに、紀元前1世紀後半に発明された吹きガラス技法は、大量生産を可能にし、ガラス器が銅貨1枚で買えたというほど帝国領内各地に広まった。
この作品は、銀化したガラス香油瓶である。銀化とは、長年地下水などの影響を受けて、地中に埋もれたガラスに含まれるカリウムやカルシウムが抜けて表面に薄い膜の層ができる風化現象だ。この現象によって生じた何層もの薄い膜によって光の干渉が起こり、この作品のように銀色や玉虫色に輝く。
銀化は、土中の条件が揃った際に偶発的に起こるが、やがては腐食して壊れてしまう。銀化の輝きに同じものはなく、この儚くも奇跡的な輝きは、19世紀に考古学ブームに沸いた多くのコレクターたちを魅了し、虹のように輝くガラスの色彩研究への道を照らし出す。
INFORMATION
特別企画展「軌跡のきらめき~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」
<会 期> 2026年1月12日(月・祝)まで。午前10時~午後5時半(入館は同5時まで)。9月30日(火)休館
<会 場> 箱根ガラスの森美術館(神奈川県箱根町仙石原 電話0460・86・3111 https://www.hakone-garasunomori.jp)
<入館料> 一般1800円、高校・大学生1300円、小・中学生600円
主 催 箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社
後 援 箱根町
協 力 箱根DMO(一般財団法人箱根町観光協会)、小田急グループ
特別協力 県立歴史博物館、県立生命の星・地球博物館、町田市立博物館、早稲田大学会津八一記念博物館、高砂香料工業、金子皓彦(国学院大客員教授)、橋本千毅(漆芸家)
2025年8月31日 毎日新聞・神奈川版 掲載