第43回毎日ファッション大賞の表彰式が10月23日、東京都千代田区の大手町三井ホールで開かれた。大賞を受賞した「AURALEE(オーラリー)」デザイナーの岩井良太さんや、新人賞・資生堂奨励賞の「FETICO(フェティコ)」デザイナー、舟山瑛美さんらが登壇し、受賞の喜びを語った。
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素材への徹底したこだわりと、洗練されたミニマムなデザインが評価された大賞の岩井さん。「ものづくりは思い通りにいかないことばかり」としながらも、「僕が日々の生活の中で幸せを感じるのは、天気がよかったり、いつものお弁当を食べたりする、ささやかな瞬間。オーラリーの服も同じように、着てくださる方が日常の中でふとうれしい気持ちになったりする、そんな存在でいられたらと思っています」と話した。
ブランド設立から5年で新人賞・資生堂奨励賞に輝いた舟山さんは「自分が思い描いていたものを形にして、人を幸せにできるファッションデザイナーという仕事が本当に好き。一生続けたいという覚悟でブランドを立ち上げた」と設立当時を振り返った。その上で、「女性それぞれの持つ魅力や美しさにインスピレーションを受けている。新しい時代を築いていくような女性像をデザインしていきたい」と思いを語った。また、舟山さんは会場でファッションショーも行い、出席者を魅了した。

長年ファッション界の発展に寄与した人や団体に贈られる鯨岡阿美子賞には「株式会社糸編」代表取締役の宮浦晋哉さんが選ばれた。宮浦さんは10年以上前から繊維産地を巡り、人と産地をつなげる活動をしてきた。「(繊維産地の)皆さんから繊維やテキスタイルについて教えてもらい、ここまで活動を続けることができた。産地に出合って、僕の人生は大きく変わった」と謝意を示した。
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話題賞のYKKファスニングアワードは、学生を対象にYKK株式会社が開催するファッションデザインコンテスト。才能ある若きクリエーターが世界に向けてジャパンオリジナルを発信し、グローバルに活躍することを願って2001年に創設された。同社の新井篤・常務執行役員は「創設当初の応募点数は600点余りだった。今年は7700点を超える応募があった。ファスニング素材そのものを見せる装飾に趣があったが、回数を重ねるごとに、着用する方々に寄り添ったデザインへの進化がうかがえ、作品一つ一つからクリエーターの皆さんの熱いパッションが伝わってくる」と学生に負けず熱く語った。
今年は、ブランド設立以来30年の創作活動を顕彰して「ミナペルホネン」デザイナーの皆川明さんが選考委員特別賞に選ばれた。皆川さんは「生産者の皆さんの力を借りて、一つ一つの製品ができるということを積み重ねてきた。生産者の皆さんと力を合わせ、ものを作る人とそれを着る・使う人の喜びを同時にかなえていけるようなデザインを作っていきたい」と抱負を述べた。
2025年11月12日 毎日新聞・東京夕刊 掲載