熊本城から眼下を見渡すと、ビルの合間に木おけを伏せたような建物が目に入る。「シアーズホーム夢ホール」の愛称で親しまれている熊本市民会館だ。

1967年に完成。市の「城と調和のとれた市民会館を」というコンセプトに基づき、建築家の佐藤武夫が手掛けた。
外壁はベージュ色に近く、木肌のように見える。だがこれはタイル張りで、県の伝統工芸「肥後かすり」の模様を意匠化した。外周は円に近い12角形になっていて、熊本城主だった加藤清正公の紋章をかたどった。
中に入ると、ホワイエの壁には馬など多くの動物の図柄が浮かび上がっている。コンクリートをノミなどで削る「はつり加工」という技法による。照明には円形の反射材を多用。そのため天井に立体的な陰影をつくり、柔らかな空間を醸し出している。

大ホール(定員1591人)は有名歌手のコンサートや市民による演劇や発表会、地元大学の卒業式などでほぼ年間を通じて利用されている。
2025年9月7日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載