徳島県美馬市脇町地区はかつて阿波藍や生糸の集積地として栄え、伝統的建造物が集まっている。建物に「うだつ」と呼ばれる小柱が多いことから、「うだつの町並み」として親しまれている。その通りを抜けると姿を見せるのが、「脇町劇場 オデオン座」だ。
地域住民や隣接する製糸工場員らに娯楽をと、1934(昭和9)年に建てられた。当初は歌舞伎や浪曲などが興行され、戦後は主に映画館として活用された。だが映画産業の衰退と建物の老朽化により、95年に閉館に至る。建物の取り壊しがほぼ決まっていたが、山田洋次監督の映画「虹をつかむ男」のロケ地に決まると、状況が一変。住民による保存運動が起こり、創建当時の姿に修復された。99年にリニューアルオープンし、映画と同じ「オデオン座」のネオン看板が掲げられた。

建物は2階建て。チケット売り場の上部にはバルコニーがある。左右に配された縦窓が洋風建築を強調し、ステンドグラス風の意匠が目を引く。落語会や地域の発表会、貸しホールとして利用されている。

2025年8月3日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載