左から、伊藤若冲「竹鶏図屛風」(1790年以前)と円山応挙「梅鯉図屛風」(87年)=上村里花撮影

 第二の若冲を探せ--。輝きを持ちながら、いまだ一般には知られていない「名作」の鉱脈を掘り起こそうとする「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」が大阪中之島美術館(大阪市)で開催中だ。縄文から現代までの絵画、工芸、彫刻、現代アートなど年代もジャンルもさまざまな作品計81点(うち、重要文化財7点。期間中、展示替えあり)を7章構成で紹介している。

 目玉の一つは昨年、発見された伊藤若冲(1716~1800年)と円山応挙(1733~95年)の合作の屛風びょうぶ。左隻の若冲が鶏、右隻の応挙がコイと、それぞれ得意の画題を描き、静(応挙)と動(若冲)が呼応し、一つの世界を形作る。このほか、岩佐又兵衛、曽我蕭白しょうはく、長沢芦雪ろせつら「奇想」の画家たちの作品が第1章に並ぶ。

 以降も、雪舟や雪村ら室町時代の水墨画▽「ヘタウマ」の元祖と言える室町時代の「素朴絵」▽写実的で精巧な動植物の彫刻的な装飾をあしらった初代宮川香山の装飾陶磁器や象牙で野菜などを精緻に彫刻した安藤緑山の牙彫--など多彩で主張の強い作品がそろった。

 なかでも本展監修の山下裕二・明治学院大教授が推すのが、独自の宗教画を生み出した牧島如鳩にょきゅう(1892~1975年)の「魚籃ぎょらん観音像」(52年)だ。福島県の小名浜漁業協同組合(当時)の大漁祈願のために描かれた作品で、中央の観音はイワシの稚魚が入ったガラス器を手に持ち、周囲を飛天や菩薩ぼさつ、さらに天使やマリアが取り囲む。キリスト者だった牧島が一つの画面の中で仏教とキリスト教を融合させた特異なだ。長年、漁協事務所に飾られていたが、2008年に足利市立美術館(栃木県)に貸し出され、その後、同市民文化財団が購入。そのために東日本大震災で流されることなく、本展でのお目見えもかなった。

 最終章では、縄文土器と現代アートが競演。ひときわ異彩を放っているのが、西尾康之さん(67年生まれ)の高さ2・8㍍の彫刻作品「アルファ・オメガ」(25年)だ。粘土に直接、指で型を刻んで鋳型を造る独自の「陰刻鋳造」技法を駆使し、「人間が滅んだ後に存在する最終兵器、そして宇宙人のような遮光器土偶のイメージ」で造られた。縄文との時空を超えた交感が生まれている。8月31日まで。

手前右が西尾康之さん「アルファ・オメガ」(2025年)、奥は会田誠さん「電信柱、カラス、その他」(12~13年、森美術館蔵)の一部=上村里花撮影

2025年7月7日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

シェアする