今回、存在が確認された喜多川歌麿筆「婦人相学十躰 ポッピンを吹く娘」 大判錦絵、1792〜93(寛政4〜5)年ごろ
今回、存在が確認された喜多川歌麿筆「婦人相学十躰 ポッピンを吹く娘」 大判錦絵、1792〜93(寛政4〜5)年ごろ

喜多川歌麿の浮世絵 44年ぶり発見

文:高橋咲子(毎日新聞記者)、小松やしほ(毎日新聞記者)

日本美術

 東京国立博物館(東京・上野)は12日、喜多川歌麿の美人大首絵の代表作「婦人相学十躰(じってい) ポッピンを吹く娘」が44年ぶりに見つかったと発表した。版元・蔦屋重三郎がプロデュースしたシリーズで、これまでは米ホノルル美術館所蔵品が知られるのみだった。

 「婦人相学十躰 ポッピンを吹く娘」は歌麿の最初期の浮世絵で、1792〜93(寛政4〜5)年ごろの作とされる。ほぼ同じ図柄は、後に制作されたと考えられるシリーズ「婦女人相十品(じっぽん)」でも出版された。両シリーズ合わせても世界で計数点が確認されるのみだという。

 東京国立博物館の村瀬可奈研究員によると、1981年にパリのオークションに出品されて以降所在が分からなかったが、今年3月に国内の美術商から情報提供があり、存在が確認された。村瀬研究員は「保存状態が極めてよく、着物の紫色など色彩が鮮やかで、輪郭線のシャープさも際立つ」としている。特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」展に20日から特別出品される。

2025年05月13日 毎日新聞・東京朝刊 掲載

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