ウクライナ人アーティストの作品の前に立つニキータ・カダンさん=東京都渋谷区で田中洋之撮影

 ◇戦争長期化「今」を知って

 ロシアによるウクライナ全面侵攻から24日で丸4年になるのに合わせ、2人のウクライナ人がそれぞれ企画したアートと写真の展覧会が東京都内で開かれている。戦争が長期化するなか、国外でも関心を持ち続けてほしいと願う取り組みだ。

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 ウクライナを代表する現代美術家のニキータ・カダンさん(43)=キーウ在住=がキュレーターとして手掛けたのは、渋谷区のアートフロントギャラリーで開催中の「亀裂を見つめてⅢ」(3月19日まで)だ。戦時下で活動を続けるウクライナのアーティスト10人の作品計43点を展示している。従軍や戦死、または徴兵対象年齢で出国できない芸術家たちの作品を国外に持ち出して紹介するプロジェクトで、2025年にはポーランドとドイツ、「瀬戸内国際芸術祭」の一会場だった香川県・豊島で実施された。

 ギャラリーには、負傷して身体を切断されたウクライナ兵の写真▽戦場で行方不明になった多数の兵士の個人番号を印刷した木の葉の映像▽迷彩服で作ったオブジェ--など戦争を色濃く反映した作品が並ぶ。

 カダンさんは「(ロシアなどの支配を受けた)ウクライナの美術の歴史は断絶と亀裂の歴史だ。極めて過酷で不可能に近い状況の中で生まれたアートを通じて、ウクライナの今を知ってほしい」と話している。

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 一方、4年前にウクライナから日本に避難したホロブコブ・セルヒーさん(30)は、ロシアの反政府活動家でウクライナ侵攻を批判したアレクセイ・ナワリヌイ氏の写真展を企画し、新宿区の早稲田奉仕園スコットホールで27日まで開かれている。ナワリヌイ氏の獄中死から2年となる16日に開幕し、同日は追悼セレモニーが行われた。

 ロシア人写真家エフゲニー・フェルドマン氏が撮影したナワリヌイ氏の写真44点を展示。これまでベルリン、パリなど各地で開かれ、東京ではフォトジャーナリストの野田雅也さんら有志の協力で実現した。

 ホロブコブさんはクリミアで生まれ育ち、故郷は14年からロシアの実効支配下に置かれた。大学で法律を専攻し、来日後は日本語を学び東京の弁護士法人で同胞避難民の支援にあたっている。今回の写真展について「ナワリヌイ氏は困難な状況下でも信念を貫いた。ロシアにも戦争に反対し、危険を承知の上で声を上げている人々がいることを伝えたい」と語る。

 21日にはナワリヌイ氏が創設した「反汚職基金」のメンバーやジャーナリストらによるシンポジウムが開かれる。

ナワリヌイ氏の写真展を企画したホロブコブ・セルヒーさん=東京都新宿区で田中洋之撮影

2026年2月19日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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