打ち放しのコンクリートの梁が並ぶエントランスホール=尾籠章裕撮影

 さいたま市大宮区の埼玉県立歴史と民俗の博物館(旧県立博物館)は、大宮公園の自然の中にある。モダニズム建築をけん引した前川國男が手がけ、1971(昭和46)年に完成した。

 展示棟には土偶や短刀、絵画などさまざまな文化財が並ぶ。建物の高さは景観と調和するよう、周囲の樹木より低く抑えられた。外壁にはつやのない焼き物タイルを使用。また、正門から博物館入り口まで歩くと、足元には褐色を基調にした「網代(あじろ)張りタイル」が続く。建物内部の床も同様で、使われたタイルは18万枚以上という。

 エントランスホールで天井を見上げると、コンクリート打ち放しの梁(はり)が目に入る。柱のない広い空間は開放感にあふれる。

 地下1階には講堂があり、入り口の壁面は前川いわく「元気になる赤」で彩られている。やや派手な色合いだが、不思議と落ち着いた印象を与える。

色合いが印象的な講堂前の壁面=尾籠章裕撮影

 館内各所に大きな窓が設けられ、公園の緑が広がる。学びの場であるとともに、癒やしの時間が過ぎていく。

大宮公園の木々が窓の外に広がる休憩コーナー=尾籠章裕撮影

2026年4月5日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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