広島県庁本館(正面)とエントランスホール(右下)=佐藤賢二郎撮影

【レトロの美】
広島県庁 広島市中区
復興への思い形に

文:佐藤賢二郎(毎日新聞記者)

建築

 戦前、「軍都・広島」を象徴していた施設のひとつが、旧陸軍西練兵場だ。跡地の一角には現在芝生が茂り、その先に大型客船のような建物群が横たわる。県行政の中心、広島県庁舎だ。

 1956年に完成。日建設計の設計で、広島の復興を象徴するモダニズム建築のひとつとされる。華美な装飾を省き、合理的な機能配置に基づく平面プランを採用。構造体としては小規模だが、建物を大きく見せる開口部のデザイン、鉄を多用した建具など、シンプルだが見どころが多い。

 大規模な改修や増築は行われず、ほぼ建設時の姿を残しており、98年には「公共建築100選」に選ばれた。2022年3月に耐震補強が完了。25年春、庁舎正面の駐車場跡地に商業施設と芝生広場がオープンした。

 被爆時の木造庁舎は現在の平和記念公園の南西約500㍍にあった。爆心地に近かったため、倒壊、全焼した。多くの職員が犠牲になり、跡地には慰霊碑が建っている。

エントランスホール1階の受付(右下)と本館と南館を結ぶ渡り廊下=佐藤賢二郎撮影
広島県庁のエントランスホール2階西側=佐藤賢二郎撮影

2026年3月1日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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