「アベンチュリン・グラス・ゴブレット」1900年頃、ベネチア、箱根ガラスの森美術館=提供写真

 ◇職人の探究心、追随許さず

 ベネチアン・グラスの特徴の一つに色彩の豊かさがある。ガラスは原材料にコバルトや銅、セレニウムなどの金属酸化物を混ぜ、それを高温で加熱して着色していく。加える金属やその分量によっても発色が異なり、加熱後冷えるまでどんな色かは不明である。ベネチアのガラス職人たちを色彩の深みへと導いたのは、ベネチアン・グラス最大の顧客であった王侯貴族たちの間で流行した貴石収集だった。水晶をはじめ玉髄や瑪瑙(めのう)などの色や模様の美しさを表現するため、思った通りの色が出るまで試行錯誤しながら、新たな色を次々と生み出してきた。

 そして、この作品の坏身の色彩もその一つで、アベンチュリン・グラスと呼ばれ、砂金を封じ込めたようなきらめきが特徴である。坏身をよく見ると、透明と砂金色が交互に配置されているのが分かる。加えて脚と台も透明にし、無色を効果的に用いることで、砂金色の輝きがより引き立てられている。ガラス職人たちの探求心と情熱が他国の追随を許さない色彩の世界を作り上げ、その技術は今もなお、受け継がれている。

INFORMATION

特別企画展「軌跡のきらめき~神秘の光彩、ガラスと貝細工~」

<会 期>2026年1月12日(月・祝)まで。午前10時~午後5時半(入館は同5時まで)。
<会 場>箱根ガラスの森美術館(箱根町仙石原 電話0460・86・3111 https://www.hakone-garasunomori.jp/)
<入館料>一般1800円、高校・大学生1300円、小・中学生600円

主  催 箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社
後  援 箱根町
協  力 箱根DMO(一般財団法人箱根町観光協会)、小田急グループ
特別協力 県立歴史博物館、県立生命の星・地球博物館、町田市立博物館、早稲田大学会津八一記念博物館、高砂香料工業、金子皓彦(国学院大客員教授)、橋本千毅(漆芸家)

2025年11月6日 毎日新聞・神奈川版 掲載

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