◇描き続けた1本の蝋燭
サムホールと呼ばれる小さな画面の中で、闇に浮かぶ1本の蝋燭。現存する中では最古の本作をはじめとして、野十郎は生涯にわたって蝋燭を描き続けた。描かれる蝋燭の数は、決まって1本。いずれも、蝋燭の本体と炎、それが置かれた台以外の要素が排除された簡素な構図だが、ある時は皿の上に載せられていたり、蝋燭の長さが違ったり、また、年代による画風の変化も見て取れる。本展覧会では、「蝋燭」が野十郎の画風や人間性を探るためのキーとなって、章を跨いで繰り返し展示されている。ぜひ、あなたのお気に入りの「蝋燭」を見つけて欲しい。
2025年8月1日 毎日新聞・千葉版 掲載