◇目利きたちの至宝、個性あふれる5コレクション紹介 来年3月22日まで
特別展「MOCOコレクション オムニバス-初公開・久々の公開-PART1」が13日、大阪市立東洋陶磁美術館(MOCO、大阪市北区)で開幕する。中国・韓国陶磁を中心に収蔵数、質で世界第一級を誇る同館で、久しぶりの公開となる五つのコレクションが一堂に会する。見どころを同館の梶山博史学芸課長代理が紹介する。
◇開館40年余 寄贈品の厚み 寄稿・梶山博史(東洋陶磁美術館学芸課長代理)
全国各地にある美術館や博物館には、それぞれの特徴や個性がある。それらを支えているのは、各館が所蔵するコレクションに他ならない。
大阪市立東洋陶磁美術館は、旧安宅産業株式会社が収集した世界屈指の中国・韓国陶磁コレクションである、「安宅コレクション」965件を住友グループから寄贈されたことを記念して、1982年11月に開館した。また、1996年から1998年にかけて、李秉昌(イ・ビョンチャン)博士から韓国陶磁を中心とするコレクション351件をご寄贈いただいた。このような中国や韓国の陶磁器を柱とするコレクションの核ができたことによって、東洋の陶磁器を専門とする美術館という、他にはない個性が際立つこととなった。
実はこれらのコレクション以外にも、開館以来40年余りの間に、篤志家の方々からさまざまな陶磁器を中心としたコレクションが当館に寄贈され、収蔵品の質と量が拡充されてきた。本展は、そのなかから五つのコレクションをとりあげて、オムニバス方式で紹介するものである。
「海野信義(うみの・のぶよし)コレクション」は、中国の墓室を飾った漢代から唐代にかけての俑(よう)など、「明器(めいき)」と呼ばれる副葬品で構成されている。「加彩天王俑」は、墓の入り口に置かれて、外部からの侵入者を退けて墓を守る役割を担ったもので、その力強いフォルムは、墓の守護者にふさわしい威厳を備えている。
「白檮廬(はくとうろ)コレクション」は、卯里欣侍(うさと・きんじ)氏(号「白檮廬」)が収集した中国陶磁のコレクションである。同氏は作品を通史的にとりあげながら、自らの審美眼によって選び抜いている。「緑褐釉貼花連珠文碗(りょくかつゆうちょうかれんじゅもんわん)」は、器形や装飾から西アジアのガラス碗を写したものと考えられ、シルクロードを通じた東西交流を物語る貴重な作品である。

「入江正信(いりえ・まさのぶ)コレクション」は、酒器を中心に時代や生産地について網羅的に収集された中国陶磁のコレクションである。「青白磁輪花杯・托(たく)」は、薄づくりで端正な形をした杯と托のセットで、酒器や茶器として用いられた。「青白磁」とは、青みを帯びた白磁のことで、北宋時代の景徳鎮窯(けいとくちんよう)などで優品が生産された。

「松惠(しょうけい)コレクション」は、「黒織部波文茶碗」など、中国・韓国・ベトナム・日本の陶磁器を中心に構成された茶の湯道具のコレクションである。コレクション名は、茶の湯に造詣が深かった、寄贈者の父母の名前を一字ずつ取って名付けられている。

「鈴木正男(すずき・まさお)コレクション」は、韓国陶磁の魅力を日本に紹介した陶磁研究者の浅川伯教(あさかわ・のりたか)(1884~1964年)旧蔵の韓国陶磁や関連資料からなる。鈴木氏は浅川の娘婿にあたる。彫刻家を目指していた浅川は、「白磁壺(つぼ)」に古代ギリシャの大理石彫刻を重ね合わせて、その造形美を感じ取っていた。

松惠コレクションは以前に数点を先行して公開していたが、まとめて紹介するのは当館への寄贈後初めてとなる。その他のコレクションは、当館でまとめて公開されてから最短のもので7年、最長のもので15年経過しており、久しぶりにまとめて公開する機会となる。各コレクションの特徴やコレクターの嗜好(しこう)をお楽しみいただければ幸いである。
INFORMATION
MOCOコレクション オムニバス-初公開・久々の公開-PART1
会 期 13日(土)~2026年3月22日(日)。毎週月曜と12月28日~1月5日休館(ただし1月12日、2月23日は開館し、1月13日、2月24日は休館)。入館は9時半~16時半。12月19日は<OSAKA光のルネサンス2025>にあわせて18時半まで。
会 場 大阪市立東洋陶磁美術館(大阪市北区中之島1、電話06・6223・0055)
入館料 一般1600(1400)円▽高校生・大学生800(700)円▽中学生以下、大阪市内在住の65歳以上(要証明)は無料。カッコ内は20人以上の団体料金。※詳細は同館サイトをご確認ください。
主 催 大阪市立東洋陶磁美術館
共 催 毎日新聞社
2025年12月10日 毎日新聞・大阪朝刊 掲載