知行合一

【美とあそぶ】おさるさん/1 スパルタで書を実践

文:川名壮志(聞き手、毎日新聞記者)

 書を始めたのは4歳の時です。母が書道教室を開いていて、幼稚園から帰ると必ず、絵本のストーリーを筆で書き写すよう言われたんです。母が「いいよ、合格」と言うまで何度も何度も。毎日、泣きながら書いてました。

 母は「1番以外は、全てビリ」という人。その日のベストが書けるまで、やめさせてくれなかった。ホント、容赦なかったです。周りを見ても、そんなスパルタ教育を受けていた子は、誰もいない。だから小さい頃は書が嫌いでした。

 結局、書は高校を卒業するまで、ずっと書かされました。今振り返ると、母はとにかく実践、実践。ひたすら、僕に字を書かせました。作品の「知行合一」は、行動を伴わない知識は意味がないという意味。とにかく、行動しろよってことですよね。

 僕の性格も、これと一緒。その意味では、母は僕に実践の大切さを教えたのかもしれません。

PROFILE:

おさるさん

1968年、大阪府生まれ。91年、お笑いコンビ「アニマル梯団(ていだん)」でデビュー。芸能活動の傍ら、宇都鬼(うっきー)の雅号で書に親しみ、作品をインスタグラムでも公開。スポーツ万能で2児の父。

2022年6月13日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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