名古屋市上下水道局が所管する鍋屋上野浄水場(同市千種区)。敷地は広大で、原水を浄化する「緩速ろ過池」が12面も並んでいる。その一角にたたずむ赤レンガの建物が「旧第一ポンプ所」だ。
明治中期、都市化により井戸水の汚染が問題になった。そのため水道設置の機運が高まり、上水道設備の建設が計画された。愛知県出身で東京帝大助教授だった丹羽重光が主導し、同市初のポンプ所として、1914(大正3)年に完成した。
正面入り口はルネサンス様式に影響を受けた浮き彫り彫刻のメダリオンや、イオニア式円柱など、精巧な技術が用いられている。外壁は幅が異なるレンガを交互に一段ずつ積み上げる「イギリス積み」。また、戦時中の米軍機による空襲の傷痕が残っている。


92年にその役割を終え、稼働を終了。2012年には同市指定有形文化財に指定された。送水ポンプなどが保存されており、水道の歴史を今に伝える。
2025年11月16日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載