大白小蟹『太郎とTARO』 ©大白小蟹/トーチweb

 マンガを通じて戦争を多面的に捉える「マンガと戦争展2」が、京都市中京区の京都国際マンガミュージアムで開かれている。2015年に同ミュージアムで開催された「マンガと戦争展」の続編であり、前回の展示内容も紹介しつつ、新たな視点を加えた。紹介作品はいずれも館内で手に取れる。

 時代によって戦争との距離感、描かれ方も変わる。展示を担当した京都精華大国際マンガ研究センターの伊藤遊さんは「近年は(第二次大戦後の)占領期を舞台にした作品が増えている」と指摘。ウクライナやパレスチナなど戦火が続く中、「今が『戦後』ではなく、戦争状態が続いているといった(世間の)気分を反映している」と分析する。

 本展では、前回展示した「原爆」「満州」など6テーマに、新たに「『外国』の戦争」「食」「マンガの表現」「新・沖縄」の4テーマを加え、テーマごとに趣向の異なる各4作品、計40作品を取り上げる。

 「新・沖縄」で展示されている高妍ガオイェンさんの『隙間』は台湾人留学生の目を通し、現在の沖縄と台湾の状況が描かれる。同じく現代を舞台とした作品でも、さいとう・たかをさんの『ゴルゴ13 琉球の羊』は在日米軍基地問題を取り上げ、マクロな視点を提示。直接的に「戦争」を描いてはいないが「先の戦争が、現代の、そして将来起こるかもしれない戦争と地続きであることを想起させる」と伊藤さん。

 「『外国』の戦争」では、ウクライナ在住のマンガ好きの少女が自身の日常を4コマ漫画にした『ウクライナのあかりちゃん』▽米国出身の漫画家がパレスチナに滞在して取材したルポルタージュコミックス『パレスチナ』--などが登場する。

 また、丹念な取材に基づき、沖縄戦を描き続ける新里堅進けんしんさん(1946年生まれ、沖縄在住)の最新3部作の原画約60点も展示。手描きで緻密に描き込まれた原稿は圧巻だ。さらに沖縄出身の大白小蟹こがにさんが人間の争いの根源に迫った寓話ぐうわ絵本『太郎とTARO』の原画展示も。11月25日まで。

2025年8月6日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

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