人体と機械の美を融合したメカを卓越した写実表現で描くアーティスト、空山基(はじめ)さんの個展「SORAYAMA 光・透明・反射 -TOKYO-」が東京・京橋の「CREATIVE MUSEUM TOKYO」で開催中だ。
空山さんは1947年生まれ。代名詞とも言えるのが、「セクシーロボット」(83年)シリーズだ。エロチシズム漂う女性をロボットに落とし込んだ造形は、87年公開の映画「ロボコップ」や、95年に発表されたティエリー・ミュグレーのコレクションなど、のちのロボットのイメージ形成に大きな影響を与えたとされる。99年には、ソニーが開発したペットロボット初代「AIBO」のコンセプトデザインを手がけた。作品はニューヨーク近代美術館や香港のM+(エムプラス)に収蔵されている。
展覧会タイトルにある「光・透明・反射」は作品コンセプトだ。「光を表現するためには空気を描く必要がある」「空気を描くには透明を表現する必要がある」「反射表現をいかにして征服するのかが鍵を握る」--空山さんは繰り返し語ってきた。本展は70年代後半から現在に至るまでの代表作で、その創作の軌跡を追う。
最初のセクション「ギャラリー」には、近年取り組んでいる大型のキャンバス作品が並ぶ。官能的なポーズを取るロボット女性。ロボット化した恐竜や魚、マリリン・モンローの肖像、金属のイチゴ。モチーフの質感は、メタリックなのに、決して無機質ではなく、むしろ生き生きとして、みずみずしい。
宇宙船の内部のような展示空間には、宇宙をただようロボットの映像が映し出され、一気にSF的な世界に引き込まれる。鏡で覆われたケースに入った輝く金属の彫像は、反射して光の迷宮を演出し、サメの金属彫刻が〝泳ぐ〟水槽型インスタレーションは、見る者を深海へといざなう。

作品には題名も解説もない。「絵で描いているんだから文字はいらない」と空山さん。そこには、半世紀近く追究してきた、揺らぎのない世界観がある。5月31日まで。
2026年3月23日 毎日新聞・東京夕刊 掲載