ミナペルホネンのデザイナー・皆川明さん(左)と最高経営責任者(CEO)の田中景子さん=松原由佳撮影

【ART】
「つぐ」ものづくりの30年
「ミナペルホネン」展 東京・世田谷

文:松原由佳(毎日新聞記者)

ファッション

 やわらかな布の海が眼前に広がる。テキスタイルが起こすさざなみは、互いに呼応しながらどこまでも続いていくかのようだ。東京・世田谷美術館で開催中の展覧会「つぐミナペルホネン」は、2025年に30周年を迎えたファッション・テキスタイルブランド「ミナペルホネン」の軌跡をたどる。

 1995年にデザイナーの皆川明さんが、前身の「ミナ」を設立。03年に「ミナペルホネン」にブランド名を改めた。作品は洋服にとどまらず、靴や食器、バッグなど幅広い。そのデザインは国内外で評価され、皆川さんは25年に毎日ファッション大賞選考委員特別賞を受賞。また、これまでの功績をたたえられ、フィンランド獅子勲章騎士一級章が授与された。

 会場でまず目に入るのは、これまでにミナペルホネンが手がけてきたテキスタイルで彩られたインスタレーション「chorus」。幾何学や花をモチーフにしたテキスタイル約180種が来館者を迎える。30年で生み出した図案は1000種以上というから、展示されているのはほんの一部。それぞれが独立した図柄でありながら調和も感じる。続くエリアでは、21のデザインが生まれる過程と、服や食器などに形作られていくさまが示されている。「tambourine」といったブランドを代表するデザインも並ぶ。

「tambourine」のテキスタイルやシューズなどの展示=松原由佳撮影

 30年の歴史が伝わる展示も。「remix」の章では、古くなり修繕が必要となった服にリメークを施した姿を見ることができる。元のデザインを生かしながらも、所有者の今のライフスタイルに合わせ、新たに命を吹き込まれたスカートやコートたち。所有者の思い出を記したパネルからは、このブランドの服がいかに一人一人の人生に寄り添ってきたかが伝わる。

 「つぐ」という言葉には、さまざまな漢字が当てはまるが、思いを継いで布を接ぎ、次なる道へと歩み続けるミナペルホネンの姿勢が詰まった展覧会となっている。皆川さんは「さまざまな『つぐ』がものづくりの中にあることを感じてほしい」と話す。2月1日まで。

2026年1月5日 毎日新聞・東京夕刊 掲載

シェアする