玄関を入って右手の吹き抜け空間。大窓越しに中庭が広がる=尾籠章裕撮影

 閑静な住宅街の景色に溶け込むように杉並区立杉並会館(東京都)はある。鉄筋コンクリート造りながら、社寺建築のような風情がある。地下2階、地上4階建て。1967(昭和42)年に開館した。建築家・芦原義信が手がけた。

建物の正面外観=尾籠章裕撮影

 会館では、披露宴や記念式典などが行われ、3、4階には「東京工芸大学 杉並アニメーションミュージアム」がある。

 玄関を入ると木をV字に組み合わせた寄せ木張りの床が全面に広がる。左手には陶芸家、会田雄亮の陶壁が天井まで覆う。さまざまな色合いの凹凸のある陶板が織りなす作品は、建築と芸術作品の融合を感じさせる。

 右手の吹き抜け空間の大窓の高さは、5㍍60㌢。開放感を演出している。眼前に中庭の濃い緑があり、都心の一角であるのを忘れさせる。品の良い金の色合いを放つ壁前では、披露宴利用者で記念撮影をする人もいるという。ロビーを進むと現れる、らせん階段の形容も美しい。

 昭和、平成、令和と移ろいできた時の流れが、建物の随所に染みこんでいる。

ロビーにある地下へのらせん階段=尾籠章裕撮影

2026年8月23日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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