緑あふれる敷地の中にある浴風会本館=尾籠章裕撮影

 緑あふれる広大な地に、1世紀、浴風会本館(東京都杉並区)はその姿を残す。1926(大正15)年に完成、内田祥三、土岐達人が設計した。

 地下1階、地上一部3階建てで塔屋がある。1923年の関東大震災後にできた建物は、鉄筋コンクリート造り。内部はしっくい壁に覆われ、耐震、耐火性に優れている。外観は表面をくし引きした茶色のスクラッチタイルだ。多くが完成時からのもので趣を増している。

 中央の塔屋棟を軸に、左右対称に棟を配置し、鳥が羽を広げるようでもある。内田が手がけた東京大学の安田講堂をほうふつとさせる。北側の正面玄関では、バラの意匠を施した扉が訪れる人を出迎える。鉄製の厚い扉は、耐震補強の役割もあるという。

正面玄関の扉の意匠=尾籠章裕撮影

 南側の中庭には大小二つの池があり、小池の真ん中に作られたオブジェは、本館を模した意匠で洗練された遊び心を感じさせる。現在の敷地には他に介護施設、病院などがあり静かな時が流れている。

建物南側の前にある小池=尾籠章裕撮影

2026年8月2日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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