釧路湿原の東端に建つ旧岩保木水門=宮間俊樹撮影

 北海道東部に広がる釧路湿原の片隅にたたずむ旧岩保木(いわぼっき)水門(釧路町)は100年近い歳月が息づく。

 釧路の市街地に甚大な被害をもたらした1920(大正9)年の大洪水をきっかけに釧路川の治水事業が始まり、長さ約11㌔の直線的な新流路(新釧路川)が掘削された。旧流路への分水のため設置されたのがこの水門だ。27(昭和2)年に建設工事が始まり、31年に完成した。

 北海道開発局釧路開発建設部によると、旧流路は40年までは平水時に木材の水運などにも利用された。その後、鉄道輸送が主流となったため水門は閉じられることになった。

 両端にローラーを取り付けた扉をワイヤで引き上げて開閉するローラーゲート方式を採用。板張り外壁の上屋(操作室)が特徴的で、時を経た風情を漂わせる。

開閉には扉の両側にローラーを取り付けて引き上げるローラーゲート方式が採用されている=宮間俊樹撮影

 2024年には釧路市街地や釧路港の発展を支えた歴史的な土木構造物として土木学会の「選奨土木遺産」に認定。地域の歴史を伝える役割を果たし続ける。

板張り外壁が特徴的な上屋=宮間俊樹撮影

2026年7月12日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

シェアする