戦前の1934年に開業した門司ゴルフ俱楽部(くらぶ)(北九州市門司区)。60年に完成した2代目クラブハウスは日本のモダニズム建築に大きな影響を与えたチェコ出身の建築家アントニン・レーモンドが設計した。玄関を入るとロビー中央へ真っすぐ伸びる大階段が鎮座し、筒型光源が円形に連なるシャンデリアが目に入る。
小屋組みの高い屋根は半分に割った丸太を左右から挟み込んで固定する「挟み梁(ばり)」と呼ばれる伝統的な工法で支えられ、柱の少ない構造が広々とした空間を生んでいる。
ふと、階段の上から炭の香りが漂ってきた。大きな円卓のようないろり暖炉の炭火がプレーヤーを和ませる。天井まで一直線に伸びる2本の風洞やむき出しの木材は山小屋のようだ。
戦前に建てられた初代クラブハウスは茅葺(かやぶ)きだった。戦時中にコースは芋畑になり、芝は飛行場のために供出した。2代目の設計に当たりレーモンドは初代の雰囲気を残そうと考えたという。2014年、コースのスタートハウスとともに国の登録有形文化財になった。


2026年5月3日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載