1世紀以上も子どもたちの成長を見守った旧吹屋小学校の木造校舎=三村政司撮影

 「抜刀可能な刀について」「持ち込み可能な銃」。あるイベントのホームページには物騒な注意書きが躍る。これは一体?

 実は、岡山県高梁(たかはし)市の「旧吹屋(ふきや)小学校校舎」で開かれたコスプレイベントでの注意書き。「刀」や「銃」はもちろん模造品やおもちゃだが、それでも安全を考慮し持ち込みに制限がかけられた。この木造校舎はテレビドラマや映画、アニメで使われ、「レイヤー」(コスプレ愛好家)たちに人気の撮影スポット。イベントは過去3度、開催された。

校舎の教室。ランドセルは、卒業生たちが寄付したものという=三村政司撮影

 1900(明治33)年に東西の校舎、09年に本館が完成した。2012年3月に廃校になるまで、国内最古の現役木造校舎とされた。

 明治時代後期を代表する「擬洋風」の学校建築。外壁が下見板張りの本館を中心に、東西の校舎を左右に対称配置する。本館1階の幅広い「三間廊下」は、体育館の役割も担っていた。その上部には、擬洋風の特徴という三角形の「トラス構造」の骨組み。

 閉校後は保存修理を経て、22年から一般公開されている。

三間廊下の幅は約5.4メートル。上部の「トラス構造」の骨組みで支える=三村政司撮影

2025年6月1日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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