
かつて天守がそびえ、今も壮大な石垣が残る津山城跡(岡山県津山市)の一角に、津山文化センターは建つ。「集会場がほしい」という地元の女性たちの願いが広がり、文化施設の建設に発展した。市をあげての寄付により、1965年に「現代の城」として完成した。
設計は建築家・川島甲士による。地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造りで、外観は「斗栱(ときょう)」と呼ばれる構造をデザインに取り込んでいる。寺院など伝統的な木造建築に見られ、軒などを支える。また、隣接する末広がりの石垣に対比させるように、上の階に行くほど軒先に向かってせり出し「逆台形」となっている。

外壁のレリーフは、グラフィックデザイナーの粟津潔がコンクリートに直接線を引き、4人の職人が1カ月ほどかけて削ったという。内部は大ホールを中心にホワイエ、回廊、会議室などが配置されている。

2020年、2年がかりの大規模改修が完了した。今後も地域に根差した交流の場として、市民と共にあり続ける。内部の見学は事前予約が必要。
2025年4月20日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載