白糸川橋梁を渡る列車。左下は白糸川=須賀川理

 神奈川県小田原市の白糸川は、三方を山に囲まれた集落を流れる。河口付近にまたがる白糸川橋梁(きょうりょう)はJR東海道線の鉄道橋だ。1925(大正14)年、2代目として開通した。長さは約199㍍に及ぶ。

 初代は22年に架けられたが、翌年の関東大震災の際に大規模な土砂災害が発生し、周囲の集落とともに壊滅的な被害を受けた。ほどなく始まった再建工事では、被災前とほぼ同じ姿が再現された。

 三角形を組み合わせた構造のワーレントラス橋のため強度が高い。赤色に塗られた鋼材には無数のリベットが打たれ、重厚感を醸し出している。強風が吹くとたびたび運行に影響が出たことから、91年に両脇に暴風柵が設置され、現在の姿になった。

無数のリベットが打たれた鋼材=須賀川理

 高さ約25㍍の橋梁を海岸沿いの国道から見上げていると、列車が集落の上を渡るように通過した。のどかな集落と調和する姿は鉄道写真愛好家に人気だ。2019年には「旧熱海線鉄道施設群」の構成資産として土木学会選奨土木遺産に認定されている。

朝日を浴びて浮かび上がるシルエット=須賀川理

2024年11月17日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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