日南市文化センターは見る場所によって表情が違う。北からだと岩山のようだ

 芝生の向こうに見える姿は、そびえ立つ岩山のようだ。日南市文化センター(宮崎県日南市)は建築家の丹下健三が設計した。コンクリート造り2階建て。日南地方の山並みや、日南海岸にある波状岩「鬼の洗濯板」がモチーフになっているとされる。

 近づいて外観を見ると、外壁には垂直のラインがなく、全ての外壁が内側に傾斜しているのが分かる。また、外壁には細長い開口部があったり、排水溝が突き出ていたりして、全体的にゴツゴツとした印象だ。館内を歩くと、壁が斜めになっているので、平衡感覚を失ってしまいそうだ。

明かり取り窓は台形になっている

 同センターは日南市制10周年を記念し、周辺町村とつくる組合が運営していた電気事業の譲渡益を財源に1962(昭和37)年に建てられた。計画当初は道路整備を優先したほうがいいとの意見があったが、文化センターの建設を求める市民の声が多数を占めた。

 九州で唯一の丹下建築を一目見ようと県内外から多くの人が訪れる。

玄関前にある角を取った開口部

2022年2月6日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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