陽光が降り注ぐ1階広縁

 東京都豊島区の旧マッケーレブ邸(雑司が谷旧宣教師館)は、白亜の外観がひときわ美しい。米国人宣教師のジョン・ムーディ・マッケーレブの居宅として、1907(明治40)年に建てられた。19世紀後半に見られた米国の郊外住宅の特色を持った質素な造りの木造2階建て。外壁は横長の板を重ねて張った下見板張りで、雨水の浸入を防ぐ効果に優れている。

中央のドアで隔てられている1階居間(右)と食堂(左)の暖炉。背中合わせに組み込まれている

 1、2階ともに3室がT字形に配置され、全室、暖炉が背中合わせに組み込まれている。この暖炉は壁の中で1本の煙突につながっており、室内はすっきりとした印象だ。また、南側の広縁には、壁一面を埋め尽くすほどの窓ガラスがはめ込まれ、陽光がふんだんに降り注ぐ。床や天井などには木材を多く取り入れ、ぬくもりを感じさせる室内になっている。

 同邸は82(昭和57)年に豊島区が取得し、修繕を行ってきた。99(平成11)年に東京都指定有形文化財となった。都内でも数少ない明治期の宣教師館の姿を今に伝えている。

建物東側の階段は大きな窓に面している

2022年1月16日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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