アーチと円柱のつなぎ目が規則的に続く

 規則的に並んだ直線の円柱と、曲線の天井の造形美に圧倒された。稚内港北防波堤ドーム(北海道稚内市)は、稚内と樺太(現ロシア・サハリン)の旧定期船発着所に通じる道路や、鉄道に波しぶきがかぶるのを防ぐために1931(昭和6)年から5年かけて建設された巨大な防波堤だ。

均等に並ぶ円柱と天井の曲線が幾何学的な美しさをみせる

 円柱70本が6m間隔で並べられ、長さ427m、高さ13.6mの半アーチ式。由来を示す石碑には「古代ローマの柱廊を思わせる独特の外観から通称『ドーム』と呼ばれ世界で唯一のものである」とあった。設計したのは当時26歳の土木技師、土谷実。樺太航路時代の記憶を残す歴史的遺産として2001(平成12)年には北海道遺産に指定された。

ドーム外側も円柱をつなぐアーチが規則的に並ぶ

 日中は訪れる観光客もあり、映画などのロケ地にもなる名所だが、早朝は散歩道として市民が利用する姿があった。

現在は海側のコンクリートの損傷が激しい部分などの補修工事が行われていて、2月まで続く予定だ

 静けさの中で利尻島や礼文島に向かうフェリーの汽笛が聞こえると、ここが港であることを教えてくれる。

2021年9月5日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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