細長い採光窓が規則的に並ぶ外観=尾籠章裕撮影

 王子駅から西へ徒歩約15分の緑深い公園の中に、北区立中央公園文化センター(東京都)はある。旧東京第一陸軍造兵しょう(兵器工場)の本部として、1930(昭和5)年に建てられた。

 太平洋戦争の戦禍を耐え抜き、戦後は米軍に接収された。71年に日本政府に返還され、81年に文化センターとしてオープンした。

 地下1階、地上3階建ての鉄筋コンクリート造りで、南側正面外観、北側とも均整の取れたシンメトリーな構成を持つ。その形容は北を上にして凹形となる。かつては茶色だったが、米軍の接収とともに、白色に塗られた。

大きく取られた半円アーチが広がる車寄せ=尾籠章裕撮影

 正面玄関の車寄せは三つの半円アーチに縁取られる。窓枠も縦に細長い三連の半円アーチや長方形のものが均一に配置され、建物に風格をもたらしている。壁上部の縁にも半円アーチの装飾が施され、横に長く連なる。

3階の半円アーチ窓から明かりがふんだんに入る(特別許可を得て撮影)=尾籠章裕撮影

 現在は憩い・学びの場として多くの区民らに親しまれている。そのたたずまいは鳥のさえずりが響く、閑静な公園の光景と調和している。

2025年5月11日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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