
京成佐倉駅から南西へ徒歩で10分ほど。坂を上がった高台に佐倉市役所(千葉県)は建つ。その1号館は日本を代表する建築家の一人、黒川紀章によるもので、1971(昭和46)年に完成した。
地下1階地上6階建ての鉄筋コンクリート造りで、外観は独立したカプセルが集合したようで、機能性とデザイン性が融合している。同じく黒川が東京・銀座で手掛けた中銀カプセルタワービルをほうふつとさせる。円窓があるカプセルが積み重なった集合住宅で、その斬新さが話題となった。

1階玄関口のひさしや、建物内の天井随所には格子状の「ワッフルスラブ」が設けられ、柱の出っ張りがない広い空間を確保している。ワッフルスラブという名称は、洋菓子「ワッフル」に似ていることにちなむ。エントランスロビーはガラス壁面の吹き抜けで、明かりを取り込む構造になっている。また、隣接する議会棟も黒川がデザインした。

敷地内には他に2、3、4号館と、社会福祉センターがある。
2025年4月13日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載