緑豊かな木々の合間から見える旧双葉幼稚園園舎の赤いドーム屋根=貝塚太一撮影

 北海道帯広市の中心部付近にある旧双葉幼稚園園舎。木々の緑に囲まれた中、鮮やかな赤色のドーム屋根が特徴的だ。

 園舎は1922(大正11)年11月に完成。2代目園長の臼田梅は、ドイツの教育者・フリードリヒ・フレーベルの教育方針を実践していた。臼田が設計に関わった際、園舎にもフレーベルの考えを取り入れたという。

 建物は木造鉄板ぶき。園舎の中央、ドーム式屋根の下部には八角形の遊戯室、その四方に保育室を配置した。天井近くの壁上部には八つの窓を設けて採光し、白色の壁と調和して開放的な空間を演出している。

園舎の象徴であるドーム屋根の吹き抜け空間にある八角形の遊戯室=貝塚太一撮影

 遊戯室中心の設計は「梅鉢型園舎」と呼ばれ、大正期にこのタイプの幼稚園が建設されたのは数少ないという。2013年に閉園したが、17年に国の重要文化財に指定された。

 建物を管理するNPO法人「双葉の露」の川村善規理事は「3年前、ロックバンドのスピッツが遊戯室で極秘ライブを開きました。最近は多くのファンが『聖地巡礼』として来園されますよ」と話した。

保育室には園児が使っていた机やランドセルなどが展示されている=貝塚太一撮影

2024年9月1日 毎日新聞・日曜くらぶ 掲載

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