◇水晶への憧れ、器形に
ルネサンス期のヨーロッパでは、交易で入手した他地域の物品や貴重品を収納し、展示するための「クレデンツァ」という飾り棚や「驚異の部屋」と呼ばれる博物陳列室が王侯貴族の間で流行した。これらは、所有者が持つ権威や富を示すだけでなく、人々の知的好奇心を刺激し、新たな技術開発へと駆り立てた。
そうして生まれた技法の一つが、「船形水差」にみられるような無色透明のガラス「クリスタッロ」である。ごく一部の権力者しか手にできなかった水晶への憧れが生んだこの技法のガラス器もまた、王侯貴族たちがこぞって収集した。
レッコが描いたクレデンツァを思わせる静物画のクリスタッロの中には、船形水差も描かれている。この器形の人気は長く続き、19世紀まで類型作品が作られた。


INFORMATION
開館30周年特別企画展「描かれたヴェネチアン・グラス~箱根ガラスの森美術館コレクション」
<会 期>2027年1月11日(月・祝)まで。午前10時~午後5時半(入館は同5時まで)。会期中無休
<会 場>箱根ガラスの森美術館(箱根町仙石原、電話0460・86・3111)
<入館料>大人1800円、大高生1300円、小中生600円
主催 箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社
※絵画は複製作品を展示します。展覧会の詳細は、こちらのサイトからご確認ください
2026年9月10日 毎日新聞・神奈川版 掲載