ダビデ・フイン「ベロネーゼの花器」2026年、箱根ガラスの森美術館蔵=提供写真

【展覧会】
描かれたヴェネチアン・グラス 箱根ガラスの森美術館/上
「受胎告知」と「ベロネーゼの花器」

文:柳井康弘(箱根ガラスの森美術館学芸マネジャー)

ガラス工芸

西洋美術

 開館30周年特別企画展「描かれたヴェネチアン・グラス~箱根ガラスの森美術館コレクション」より、主な展示作品を紹介する。

 ◇無色透明「純潔」を象徴す

 処女マリアのもとに天使ガブリエルが舞い降り、彼女が聖霊によってキリストをみごもったことを告げる「受胎告知」を描いたパオロ・ベロネーゼの作品。マリアのかたわらには、無色透明のガラス花器が描かれている。

(参考)パオロ・ベロネーゼ「受胎告知」1580年頃、アカデミア美術館蔵 ⒸArchivio fotografico G.A.VE–“su concessione del Ministero della Cultura–Gallerie dell'Accademia di Venezia”
「受胎告知」(部分)=提供写真

 ベネチアン・グラスにおけるルネサンスは、15世紀半ばアンジェロ・バロビエールが、高純度な無色透明ガラスを発明したことに始まる。この新しいガラスは、水晶にならって「クリスタッロ」と呼ばれた。

 描かれた白百合と無色透明のガラス花器は、ともにマリアの「純潔」を象徴している。この優美な曲線を特徴とするガラス器は「ベロネーゼの花器」と名付けられ、ベネチアン・グラスの定番デザインとして今日も作り続けられている。

INFORMATION

開館30周年特別企画展「描かれたヴェネチアン・グラス~箱根ガラスの森美術館コレクション」

 <会 期>2027年1月11日(月・祝)まで。午前10時~午後5時半(入館は同5時まで)。会期中無休
 <会 場>箱根ガラスの森美術館(箱根町仙石原、電話0460・86・3111)
 <入館料>大人1800円、大高生1300円、小中生600円
 
 主催 箱根ガラスの森美術館、毎日新聞社
 ※絵画は複製作品を展示します。展覧会の詳細は、こちらのサイトからご確認ください

2026年9月8日 毎日新聞・神奈川版 掲載

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