◇横浜美術館で6月28日まで
大正3年2月、34歳の今村紫紅は画業の転機を求め、インドのカルカッタを到着港とする長旅に出発した。これを機に生まれた紫紅最大の意欲的、実験的な作品が、「熱国之巻(朝之巻・暮之巻)」である(東京国立博物館蔵。重要文化財。朝之巻=5月20日まで、暮之巻=5月22日~6月3日展示)。この絵は、その旅で見たインドの街なかの光景だ。灼熱の太陽をはね返す石段や家の外壁。そのへりを、柔らかな筆で薄墨をこぶのように置いて繋いでいった抑揚ある線で描き、遠近を表している。屋外と屋内、女と男、羽を休めるインコと動きあるリス、とモチーフを対比的に配し、双幅の形式を活かしている。
INFORMATION
「没後110年 日本画の革命児 今村紫紅」展
<会 期>6月28日(日)まで。会期中、展示替えあり
<会 場>横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)
<問い合わせ>045・221・0300。美術館ホームページ。
2026年5月14日 毎日新聞・東京版 掲載