◇横浜美術館で6月28日まで
今村紫紅(しこう)は日本画の慣習にとらわれず、自由な構図、色彩、主題を追究した。この絵は、東海道の難所として知られた大井川を描いた33歳の作。紫紅には比較的珍しく江戸風俗を描いており、古画を多方面に学んだ紫紅の関心の広さが窺える。画面をはみ出して蛇行する川と、丸石が広がる川原。俯瞰(ふかん)視点の躍動的な構図でとらえ、青と白のコントラスト鮮やかに表す。旅人と川越(かわごし)人足(にんそく)をさまざまなポーズで精細に描き、川原の活気を伝えている。うねるように素早く引かれた青の線の重なりは、西欧の後期印象派の絵画をも思わせる。最盛期の実験的な作品の一つ。
INFORMATION
「没後110年 日本画の革命児 今村紫紅」展
<会 期>6月28日(日)まで。会期中、展示替えあり
<会 場>横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)
<問い合わせ>045・221・0300。美術館ホームページ。
2026年5月12日 毎日新聞・東京版 掲載